トモとトモの話<12> 1ヶ月ぶり編 *エロサンプル

 

サンプル、二箇所から抜粋です
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「え……? 一ヶ月……?」
「……うん」
「え……えええええ!」

今日も定時きっかりに仕事が終わって、いつものように智樹さんとご飯を食べに来ていた。お馴染みの会社の近くの居酒屋。狭いし結構古いんだけど人気があって、俺たちと同じように仕事帰りのサラリーマンで賑わっていた。
ちょこちょこ飲んで食べて、俺が〆の麺をすすっていると、智樹さんがぽつりと言った。

「トモ」
「ん? なんへふか?」
「俺、一ヶ月、出張行くことになったから」

ぶっと噴き出しそうになるのを必死に堪えた。

「え……」
「出張」

直後に俺の大絶叫が響き渡ったが、周りの騒音にまぎれて、誰もこっちを気にした人はいなかった。

「一ヶ月……? 一ヶ月も会えないの……?」
「大袈裟だな」

智樹さんはそう言うけど、俺にとっては死活問題だ。今まで毎日……会ってたのに。

「本社に人手が足りなくなったみたいでさ。俺も向こうの環境見てみたいし……俺に来て欲しいって言ってるし。いい機会だと思ってさ」
「……いつ?」
「来週の土曜。北海道」

北海道と聞いて、頭をがつんと殴られたような衝撃を受けた。
俺だって本社と電話することは何回もあったけど、まさか智樹さんがそっちに行くなんて考えたこともなかった。

「お土産、何がいい? メロン送ってやろうか? 白い恋人か?」
「……いらないから、行って欲しくない……」

飄々としてるところにむっときて、わざと冷たい言い方をした。爆弾宣言をした本人は、そう言われるのがわかってたみたいふっと笑うと、小さく息をついた。

「……出るか」

なんか、俺って女の子みたいだな。行って欲しくない、とか……駄々こねたりして……。けど、寂しいもんは寂しい。自分の意思じゃ、どうにもできない。制御できないんだ……。
そんなことを考えながら、家……智樹さんちについた。
ここに帰ってくるのがいつの間にか当たり前みたいになった。自分ちよりずっと落ち着くんだから、もうどうしようもない。

「トモ」

玄関にぼーっと突っ立っていたら名前を呼ばれた。顔を上げる前に、智樹さんは俺の手を取ってギザギザしたものを握らせた。

「好きに使っていい」
「えっ……」
「自分ちだと思っていいから」

鍵だった。キーホルダーもなんにもついてない、味気なくって冷たい……この部屋の鍵。

「……くれるの?」
「やる」

……じわじわと視界がぼやけて、地面が歪んでいった。

「智樹さん……っ!」
「わっ……」

頭で考えるより早く身体が動いていた。ぎゅうっと抱きしめる。嬉しいのと寂しいのと不安がごちゃ混ぜになって、自分でもわけがわからなかった。

「事故とかに遭わないで」
「おい……」
「無事に帰ってきて」
「……何、泣いてんだよ……」

瞬きしただけでぼたっと涙が落ちる。だらしなく鼻水をずるずるさせながら、抱きしめたまま泣いた。智樹さんの肩がどんどん俺の涙で湿っていくけど、何も言わないで、ただ黙って……俺が落ち着くまで、ぎこちなく背中をさすってくれていた。

「ふっ……ぁ、んっ……」

出発の日の朝。昨晩、最後だから……って散々やったくせに、名残惜しくって寂しくて、なかなか手放せないでいた……。

「ふぁ、ぁ、っんぅ……」

今、スーツをきっちり着こんでスーツケースを持った智樹さんを、玄関に押し付けているところだった。

「んっ……! も、しつこいっ!! 間に合わないだろ! 飛行機っ!」

怒鳴られても耳に入らない。空港が何か大変なことになって、今日の飛行機が全部飛ばなくなればいいのに。キスしながらそんなことを冷静に考えていた。

「いい加減にっ……! っ!? んっ……!」

顎を持ち上げて言葉を飲み込ませる。舌を追いかけて、吸って、ぐちゃぐちゃにかき混ぜる。セックスの最中にするようなキスだ。

「ぅんっ……ふぁ、はぁっ」

足の脛をげしげし蹴られる……。靴を履いてないからたいしたことないけど、爪が当たるとちょっと痛い……。

「……はぁ、ん……」

舌を吸ってからそっと解放してやる。ぽーっとして焦点が定まっていない目……。綺麗で色っぽくて、めちゃくちゃエロかった。そんなエロい顔のまま、ほんとに出かけるの? 俺が影になってるせいで表情が見えづらい分、余計にいやらしかった。

「鍵……」
「………」
「鍵、返せ……」

じっと見つめられる。声は低かったけど、目は全然怒ってなくて、本気じゃないのがわかった。

「それは、やだ……」

壁に押さえつけていた手を離すと、フッと息をついて、上目遣いに俺を見た。

「あのなあ……一生会えないってわけじゃないんだぞ?」
「うん……わかってる……わかってます……、けど……」

寂しい……。

「すぐだろ。一ヶ月なんか」
「うん……」

俺、ちゃんと笑って見送ろうと思ってたのに……寂しくって目の前の顔がまともに見れない。自分がこんなに女々しいなんて知らなかった。

「ほら!」
「い゛っ!? いででっ!」

落ち込んでたら、両方の頬をぎゅーっと引っ張られた。

「笑えって!」
「うぅぅ……いひゃい……」

俺の変顔が可笑しかったみたいで、智樹さんは声を出して笑った。その笑顔を見てたら俺もおかしくなってきて、一緒に笑った。

「じゃあな! 行ってきます」
「智樹さっ……送る!」
「いいよ! じゃーな!」

廊下を曲がって、見えなくなる寸前にまた手を振ってくれた。

「っ……行ってらっしゃい!」

智樹さんのおかげで、俺はちゃんといつも通り……笑って、見送れたと思う。

****

ピンポーン……
インターホンが鳴った瞬間、速攻で玄関に駆け込んだ。扉を開けると、俺が、ずっと待ち焦がれた…大好きな人が……。

「おう」
「っ……」

智樹さんは「あー重い」とかなんとか言いながら、大量の紙袋やらスーツケースやらを中に入れて、扉を閉めた。

「………」
「………」

一瞬の沈黙のあと、上目遣いに俺の目を見た。

「……ただいま」

俺はたまらなくなって、泣きじゃくった日と同じように、ぎゅうっと細い身体を抱き締めた。

「おかえりなさい……」

首筋からふわっといつもの香水と、体臭がまじった甘い香りがする。一ヶ月ぶりのそれに、ぞくぞくして全身に鳥肌が立った。下半身にダイレクトに直撃する。

「馬鹿、苦しいって……」

俺の気が済むまでぎゅーっとしてたかったけど、解放して正面から見つめる。

「迎えに行きたかったのに……」
「いーよ、寒いだろ」

新宿に着いたら連絡して、と言ってあったのに、やっと連絡が来たと思ったら、「今タイエーの前。もう家つく」と、ここから徒歩五分のいつものスーパーの名前が書かれていた。

「適当に食うもん買ってきたけど……あっ、ちょ……おいっ」

寒いからわざわざ来なくてもいい、って俺を気遣ってくれたのがすごく嬉しかったし、我慢できなかった。ぐっと手を引いて、ベッドまで連れて行って押し倒す。

「ぅっ……おいっ、待てって! 冷蔵するもんあるんだよっ」

俺が「あとで」と言うと、ぶすっとした顔をした。

「俺がいなくて、寂しかった?」
「……別に」

即答。期待してなかったから、いいけどさ……。でも、こういう時くらい素直に言ってくれてもいいのに……

「ってか……すげー元気だったよ。毎日身体が軽くってさ」
「え、えぇ? なんで?」
「…お前とやってなかったから」

……頭を思いっきり殴られたような衝撃を受けた。

「……俺、そんなに無茶させてる?」
「っ……させてんだよっ! 毎日毎日っ!」

やっと会えたと思ったのに、いきなり怒られる……。

「一回で終わりゃいいもんをだらだらと……」
「ごめんなさい……」
「口だけだな」

ベッドに押し倒してるはずなのに、久しぶりに会ったはずなのに、全く色気がない。

「智樹さんがいけないんだよ……智樹さんといると俺、おかしくなっちゃうし……」
「アホなこと抜かすな」

ぎゅーっとほっぺをつねられた。本気じゃないから全然痛くない。その手をとって、ベッドに縫い付けた。

「会いたかった」
「………」
「キスしてもいい……?」
「……お前なあ……この流れで…」

お許しが出るまで待てなかった。ちゅ、と口付けて舌を潜り込ませる。真下にある眉毛がピクッと跳ね上がった。
粘膜に触れた途端、それに毎日触れてた日々を思い出して……頭がカッと燃えるように熱くなって、何も考えられなくなった。

「んむっ……! ん……っ」

上顎を擦って、舌を絡め捕る。

「ゃ゛……ふ、うっ……」

おいしい。おいしい。ずっとこうやって触りたかった。可愛い声が聞きたかった。
舌を吸ったり軽く食んだりするたびに、押さえつけてる身体がピクピク跳ねる。

「んぅ……ん、こく……、っ、ごく、……」

わざと唾液を送り込むと、喉を鳴らして飲み込んでくれた。たまんない……。嬉しい。

「ぷはっ……! はぁ、はあっ……、んっ……!?」

苦しくなって身を引いても、すぐに追いかけてまた塞ぐ。

「ん、~~~っ……!」

気持ちいい……。智樹さんの口の中、すげえ気持ちいい……。これ以上ないくらい幸せだって思うのに……まだ足りない。いくら舌を絡ませても、吸っても……足りない。

「んむっ、ん、ふぁ……っ」
「はあっ……智樹さん……」

解放すると、唾液の糸がつーっと繋がってめちゃくちゃエロかった。

「俺がいない間、一人でしたり、した……?」

 

 

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トモとトモの話 / 部下×上司

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